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天のない酒造り
尾瀬あきら氏の人気漫画『夏子の酒』の最終回には、引退する名杜氏が若手杜氏に贈る、「天のない酒造り」という言葉が登場する。
この言葉を尾瀬氏に提供したのが、ここ諏訪泉で長年杜氏を務めた鳴川喜三氏。
「酒造りに天、つまりこれで完成、十分ということはない」という意味で、諏訪泉の従業員の心得として受け継がれている。諏訪泉の創業は、安政6(1859)年。県下でもっとも古い酒蔵だ。その酒は舌に柔らかく、のどごしはなめらかで、凝縮された旨味が特徴。杜氏さんたちのたゆまぬ努力はもちろん、水と米にとことんこだわってこその出来栄えだ。
酒米を育て、日本酒を仕込む
諏訪泉の酒を育んでいるのは、鳥取砂丘の生みの親、千代川。蔵は千代川の源流近くにあり、自家井戸でその伏流水を汲み上げ、仕込みからビン洗浄までのすべてに使用する。
また、諏訪泉では杜氏みずからが酒米の栽培をおこなっている。ほかに仕入れる米は、有機堆肥を用いた土壌でつくられた健康な米を厳選し、仕込みのほとんどに鳥取県産の米が使われている。
こだわりの数々を経て、風味豊かな日本酒ができあがる。