美しき紋様を描き出す「伊勢型紙」木村正明さん/三重県鈴鹿市

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紀州藩の特産品として発展した伊勢型紙

衣紋掛に両の腕を広げるような形で吊るされている着物。そこに浮かび上がる美しい紋様。日本に生まれてよかったなあと実感する。
その紋様や柄を着物に染め付けるために使われるのが型紙だ。伊勢では、その型紙づくりが古くから盛んで、友禅や小紋、浴衣などを染めるために使われてきた。発祥は1000年以上も前といわれ、とくに江戸時代に紀州藩の保護を受けて飛躍的な発展を遂げた。
まず、柿渋を塗った美濃和紙を縦横縦と3枚重ね合わせ、天日干ししたあと、室(むろ)に入れていぶして型地紙を作る。そこに彫刻刀で紋様を彫り付けて完成。均等な縞模様を描く「引き彫」や温かい円型を彫り付ける「錐彫(すいぼり)」「道具彫」など多様な技がある。

あらゆるデザインに影響を与える「伊勢型紙」

今回お会いした木村正明さんが得意とするのは「突彫」。もとの紙を突くようにして紋様を彫り進めることで、より繊細な形を浮かび上がらせることができる。

もともとは着物を染めるものとして使われた伊勢型紙だが、現在ではその芸術性が高く評価され、家具など調度品の染付けにも使われるそうだ。
「なんて美しい着物なんだろう」そう、昔の日本人があこがれた紋様は、幾歳月も重ねた現代もこうして職人の手によってつくられているのだ。

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伊勢型紙 木村正明
三重県鈴鹿市
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