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球体、集合体、水玉模様。
陶磁器の街・岐阜県恵那市に生まれ、美術学校の学生時代から一途に陶磁器による作品を作り続けてきたアーティスト、中島晴美さん。大阪美術学校のデザイン科に所属していたときに陶磁器の立体造形アートに触れ、そこから陶磁器一筋だという。
中島さんの作品は、一見「陶磁器」という言葉からは想像できない、ボコボコとした球体のようなフォルムを持ったものが多い。
そこに散りばめてある水玉模様が、体験したことのない異世界へと見るものを引きずり込む。
陶芸とは、有機的なもの。
拝見した作品が磁器だと聞いて、中田はしきりに「どうやってこの形にするんですか?」と質問する。本来、磁器はろくろなどで形を作るものだが、中島さんの作品はろくろで成形したようには見えない。その実、磁器の粘土にを手びねりで成形しているのというのだ。海外にも足を運び作陶を続けていくなかで、この方法に出会ったのだという。
この日拝見させていただいたのは、20代、30代に制作された作品もあった。
「陶芸とは、有機的なものです。」そう話す、中島さん。「有機」という言葉は、20代の頃から現在まで制作の根底にあるのだと話してくださった。
国内の美術館はもとより、アメリカを始め海外の美術館にもその作品が収蔵され、陶芸作家として世界的に注目を集めている中島さんだが、現在は愛知教育大学で教授を務め、多治見市意匠研究所で講師として教鞭をとるなど、後進の育成にも力を注いでいる。