こだわりのクリスタルガラス「カガミクリスタル」/茨城県龍ケ崎市

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伝統のクリスタルガラス。

茨城県龍ケ崎市にあるカガミクリスタルは、日本初のクリスタルガラス専門工場として、1934年に創業された。創業者は、戦前ドイツに留学してクリスタルガラスの技術を学んだ各務鑛三(かがみこうぞう)という技術者。透明度の高いクリスタルガラスにその技術を活かし、芸術の域にまで達したデザイン・模様による作品を次々と手掛けた結果、海外を含めて数多くの賞を受賞した人物だ。それが認められ、のちには皇室御用達となり、一気にその名を知らしめた。日本におけるクリスタルガラスの歴史を作り上げたといっても過言ではない。その伝統と意志を受け継いで、現在でも最高級のクリスタルガラスのみを作ることに邁進している。

原料にこだわる。

クリスタルガラスの最大の特徴は、透明感。一点のくもりもない、本当に透明なガラスを作るには、原料が重要になる。カガミクリスタルでは、その原料に並々ならぬこだわりを持っている。原料となる砂については、不純物や鉄分の少ない珪砂を取り寄せている。その純白の砂が透明感を導き出すのだ。 工場でガラスを作る職人たちもこだわりが強い。作業工程ごとに区分けされ、そのすべてにエキスパートが配置されている。1000度以上の炎が燃えているガラス工場だから熱いのは当然なのだが、それとともに職人の真剣な眼差しにも熱気がこもっているように見えた。

グラヴィール技法が描き出す。

各務鑛三がドイツから持ち帰った技法のひとつがグラヴィールという彫刻の技法。グラヴィールは回転している銅製の円盤に油で練った研削剤を付けてグラインダーで、ガラス表面に彫刻を施す技法。グラインダーの種類をかえることで、彫るだけでなく、「磨き」や「ぼかし」など、独特な風合いの表現がガラスにできるのが特徴。小さな曲線も彫刻でき、写実な表現が可能となる。中田が手にとったのが、桜吹雪を描いたワイングラス。「ぼかし」も入っていて、「このグラスにロゼを入れたら見た目にすごくいい」と何度も眺めていた。

中田もグラヴィールに挑戦。筆で書かれた下絵に銅製の円盤を当てていくが、なかなか思うようにはいかない。中田を指導してくれたグラヴィーラーによれば、彫る部分は、実はその円盤で隠れて見えない。だから最初は的に当てることすら難しいとのことで、その点では中田は合格だそうだ。
透明感のあるクリスタルガラスに、美しく描き出された絵画。装飾品としても一流のものだが、クリスタルガラスは、グラスとグラスを合わせ乾杯するときの音の余韻も美しい。”暮らし”のなかで、高級感を与えてくれる存在なのだ。

ACCESS

カガミクリスタル株式会社
茨城県龍ケ崎市向陽台4-5 つくばの里工業団地
URL http://www.kagami.jp/
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