お稲荷さんとして親しまれる神社。
茨城県笠間市にある笠間稲荷神社は創建が651年と伝わり、約1360年の歴史を持つ神社だ。奈良時代に書かれたとされる「常陸国風土記」の中にも笠間という村の名が明記されており、この頃には既に信仰を集める場所だったのではないかと考えられている。御祭神は「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」。五穀豊穣、商売繁栄、殖産興業、開運招福、火防(ひぶせ)のご利益がある「お稲荷さん」として、古くから信仰を集め親しまれているのだ。 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、茨城県も震度6強の地震に見舞われ、その後も度重なる地震が続いている。その影響から鳥居を一時的に撤去し、国の重要文化財に指定されている本殿も修理を控えている状況だ。それでも参拝に訪れる多くの人々を迎えるために、境内や建物の修復を進めている。
直会という儀式。
中田が昇殿参拝を終えた後に通されたお部屋では、お膳の上に料理が揃っていた。勧められて、中田もお料理を頂く。海の物、お豆、かんぴょうなど、一度神様にお供えした食べ物を参拝者にご馳走するのが大切な慣わしだという。
「直会(なおらい)という儀式です。神様にあげたお料理は神の御霊が宿っていると考えられていますので、そのお料理を頂くことで体の中からも力をもらうことができる。昇殿参拝の後にはこうして皆様に召し上がっていただきます。」直会は、古くは神社で行われる神事や祭の後に集落の人々が集まり、地域の天候や作物のこと、決まり事などを話し合う大切な場だったのだという。 「お神酒だけでなくお食事をいただくのは初めてです。こういう儀式もあるんですね。」と中田。
「神道とは、祖先の道を歩むという考え方があります。我々の祖先もこうして直会を行い、様々なことを話し合いながら暮してきたのではないでしょうか。」 笠間稲荷神社では、年間を通して昇殿参拝を行う参拝者にこの直会を行っている。長年に渡り人々の信仰を集める地域に根付いた神社として、大切な儀式を継承しているのだ。