「愛知県岡崎市の八帖町にある「合資会社八丁味噌」は、「カクキュー」の屋号でも知られる八丁味噌の老舗です。
1645年の創業以来続く伝統的な製法を守り続け、定番の八丁味噌から味噌を使ったオリジナル商品まで幅広く展開。日本の食文化に貢献し続けています。
熟成させる八丁味噌。
味噌カツに味噌煮込みうどん、味噌ラーメンに味噌田楽……。愛知県といえば、こってり濃厚な八丁味噌!八丁味噌とは、大豆と塩と水だけでつくられる赤い豆味噌である。 作り方は次のとおり。 蒸した大豆を握りこぶし大に丸め(これを味噌玉という)、種麹を付けて発酵させる。 味噌玉が麹菌で覆われたら(豆麹の完成)、つぶして塩と水を混ぜ合わせる(これがモロミと呼ばれるもの)。モロミを大きな木桶に入れ、上に杉の板をかぶせて、さらに石を上に積んで重しをする。この状態のまま、2~3年熟成させて出来上がり。 日本全国で見られる米味噌の場合、仕込んでから半年ほどもすればもう食べられてしまうから、八丁味噌の熟成期間がどれほど長いかお分かりだろう。 仕込んで何年も経った米味噌は香りや味が次第に劣化してしまうが、八丁味噌の場合、熟成させればさせるほどコクのある濃厚な味と香りが出るのが特徴だ。
三河武士の兵糧としても重宝された食品。
そんな八丁味噌、スーパーなどでもっともポピュラーに見られる商品が、ここ「カクキュー」のもの。創業はなんと徳川家光の時代と言われ、現当主は19代目にあたる老舗中の老舗だ。本社事務所と味噌蔵は、国の有形文化財に登録されているが、それもごもっとも。
当主は代々、早川久右衞門(きゅうえもん)を名乗り、早川家には創業以前より優れた味噌作りの技術があった。長期保存ができ携行に便利で、風味も優れていたため、三河武士の兵糧としても重宝されたという。 その後、参勤交代により八丁味噌の名前は全国に広まった。カクキューはまさにその立役者とも言える。無骨だが信義を貫き通す三河武士―、カクキューの味噌にはそんな風格が漂っている。
色が濃く固めの質感から辛口と思われがちですが、実は塩味は控えめ。料理の味わいをまとめたり、コクを足したりする効果がある八丁味噌は、和洋中を問わず活躍します。また意外かもしれませんが、チョコレートや乳製品との相性も良好。お菓子作りにも活用できる万能の発酵食品なのです。