牡蠣の名産地である広島で、生食用の牡蠣にこだわる老舗。
瀬戸内海最大の無人島・大黒神島周辺の海で生育した牡蠣は、
加熱しても身が縮みにくく、プリプリの食感を楽しめます。
広島の名物といえば、全国の6割以上の生産量を占める牡蠣。そんななかでも、同県江田島市で生食用の牡蠣を育てることにこだわり情熱を注ぎ続けている生産者さんがいる。それが、1867年創業の老舗かなわ水産だ。
広島を代表する自慢の生牡蠣、そのおいしさの秘密とは
その秘密は、牡蠣を生育する海域にあるとかなわ水産の四代目三保達郎社長はいう。
「牡蠣は1時間に30リットルの海水を濾過する、自然のフィルターのような生き物。海水に有機物などが多いと、どんどん大きくなりますが、味にも影響があります。うちの会社は創業150年以上になりますが、広島湾のなかでもよりきれいな海水を求めて、昭和48年にこの地にやってきました。現在は、大黒神島という無人島の周辺に養殖用のイカダを配置しています。このあたりは海水がきれいでその分牡蠣の成長は遅いのですが、生でも安心して食べられる品質を確保できるのです」
誤解されることもあるが、生食用と加熱用の違いは鮮度ではなく牡蠣が育った海域にある。自治体から指定された綺麗な海域で育てられた牡蠣が、生食用として出荷されるのだ。
かなわ水産自慢の一品
社長のその顔には、自社の牡蠣に対する絶対的な自信が浮かんでいる。なかでも自慢の一品は、濃厚な味わいの「ヴァージンオイスター」。
「通常の牡蠣は1年から1年半かけて養殖するところ、ヴァージンオイスターは3〜4ヶ月。産卵前の状態でサイズは小さいながらも、味は抜群です。数はかなり少ないので、価格は普通の牡蠣の10倍くらいになってしまいます」
イカダから牡蠣を引き揚げ、そのひとつをナイフで開ける。中に入っていたのは、アサリのむき身くらいの大きさの牡蠣。小さな身を口のなかに入れた瞬間、まるで牡蠣のエキスを一気飲みしたような感覚になる。くさみやクセ、雑味がまったくない、旨みをたっぷり含んだ栄養だけが凝縮している。
もちろんヴァージンオイスター以外も絶品だ。かなわ水産でいただいたのは、カキフライ、牡蠣の炊き込みご飯、燻製のオイル漬け、牡蠣グラタン……。いずれも絶品だった
楽しみ方は無限大「牡蠣の美味しい食べ方」
今回、かなわ水産で頂いた食べ方以外にも牡蠣には豊富なレシピがある。牡蠣のオイスター炒め、パスタを使ったペペロンチーノ、クリームシチュー、ホイル焼きなどなど楽しみ方は無限大である。実は牡蠣には、特定の旬といった時期は存在しない。今後の牡蠣市場に三保社長はこのように語る。
「牡蠣は、冬の食材と思われていますが、本当は年中おいしく食べられます。これからもっとPRして、夏でも食べてもらえるよう牡蠣市場そのものを変えていきたいですね」
牡蠣は食中毒にあたるというイメージから苦手な人もいるだろう。しかし、そういう人にこそ、食べてほしい。牡蠣ってこんなにおいしかったんだと、イメージががらりと変わるだろう。
1867年の創業以来、新鮮さと安全性を維持するため牡蠣の育成、生産から販売、調理までを一貫して行う体制で取り組んでいます。創業から150年余り、広島の牡蠣の草分け的存在として信頼を築いてきた味をお届けいたします。