文化芸術を発信する“泊まれるテレビ塔”・THE TOWER HOTEL NAGOYA /愛知県名古屋市

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地域の魅力を深く感じるホテル「THE TOWER HOTEL NAGOYA」

愛知県名古屋市の繁華街にそびえ立つ「中部電力MIRAI TOWER(旧:名古屋テレビ塔)」。名古屋市が戦後復興計画の象徴として、“耐震構造の父” 内藤多仲(たちゅう)に設計を打診。内藤は、塔の直下に将来的に地下鉄を開通させることや、テレビの電波を集約するアンテナの耐久性など、厳しい条件のもと試行錯誤を繰り返した。そして、1954年にパリのエッフェル塔のように機能と美しさを兼ね備えたテレビ塔として産声を上げた。この功績が認められ、内藤は東京タワーや大阪の通天閣など、日本各地の名だたる塔の設計を担当し、“塔博士”とも称されるようになった。以後、2011年に地上アナログテレビの放送が終了し、電波塔としての役目を終えてからも、街のシンボルであり続けたが、老朽化が進行し問題となっていた。

東海の芸術文化に刺激を受ける

その解決策として立ち上がったプランが、免震機能を付与し塔内にホテルを備えた施設にリニューアルすること。様々なシミュレーションを重ねた上での耐震補強工事を経て、名古屋テレビ塔の1階から5階に2020年10月にオープンしたのが『THE TOWER HOTEL NAGOYA』だ。小規模かつ世界最高峰のラグジュアリーホテルと認められたホテルのみが加盟できる「SLH」(スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド)に愛知県で初めて認定された事でも話題を呼んだ。客室は全15室で4階には一部屋ずつがデザインの違う個性あふれる13室を、5階には80㎡の広々としたスイートルーム2室を設けている。スイートルームの広々としたテラスからは名古屋一の繁華街「栄」の景観を一望できる。そして見上げれば迫力のタワーが間近にひろがる。2階にはセントラルパークを一望できるバンケットホールもあり、結婚式や各種イベントにも対応可能。展望台は22時~翌2時まで宿泊者限定のサロンとなり、宿泊者だけが夜景を楽しめる特別な空間となる。世界的にも珍しい“泊まれるテレビ塔”のテーマは「ART × CRAFT × LOCAL」。東海3県にゆかりのあるアーティストにより、このホテルのために制作された作品がフロントやロビー、客室など、あらゆる場所に展示され、宿泊機能を備えた文化・芸術の発信拠点となっているのが特徴だ。

ラグジュアリーホテルのホスピタリティとさながら美術館を訪れたような感覚が同時に感じられ、アート好きの好奇心を刺激することだろう。また、テレビ塔の鉄骨が生かされ、登録有形文化財の趣を醸す空間には、名古屋友禅や有松絞りなど名古屋を中心とした東海地方の伝統工芸が随所に配され、この土地ならではのアート・クラフトが溢れている。

東海の食材を堪能する

塔内4Fのレストランは名古屋市内屈指の高級住宅街としてしられる八事(やごと)で予約が取れないフレンチと呼ばれた「glycine(グリシーヌ)」が移転オープン。地元作家のテーブルウェアに美しく盛り付けられた、地元食材をふんだんに使った料理を堪能できる。ランチとディナーは一般開放されているが、朝食は宿泊者だけが食べられる和朝食。特に注目したいのはコシヒカリの1.5倍ほどの大粒で優れた食味を持ち、米好きの間ではよく知られるブランド米「龍の瞳」が提供されていることだ。バーミキュラを使って炊き上げ、食事時間に合わせて炊き立てが提供される。朝食にしては豪華すぎるとも思えるほど、一品一品に手が込んだおかずとその品数に朝から心が満たされる。この朝食のためだけに名古屋に行く価値があるといってもよいほど格別の朝食だ。2Fのカフェ「lily(リリィ)」では、地元作家のテーブルウェアに美しく盛り付けられた、地元食材をふんだんに使った料理を堪能できる。

かつて、この場所から四局五波のテレビ電波が発信され、人々の日常を明るく照らす娯楽を届けたように、形は変わっても文化を発信する場所であることは変わらない。そして、名古屋の中心街を見下ろし、街の息づかいや歴史が感じられながらも、ほっと一息つける場所で過ごすひとときは、旅慣れた客人にとってもきっと特別なはずだ。

ACCESS

THE TOWER HOTEL NAGOYA
愛知県名古屋市中区錦3丁目6−15先
TEL 052-953-4450
URL https://thetowerhotel.jp/
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