新潟の酒蔵「久須美酒造」

新潟の酒蔵
「久須美酒造」

語り継がれるひたむきな米作りと酒造り

 天保4(1833)年、初代・久須美作之助が創業。170年余の歴史を持つ「久須美酒造」のある和島村は新潟県の中央部の海岸線に位置し、良寛和尚の終焉の地と知られる海となだらか山間の静かな場所だ。これまで手づくりの伝統を頑なに守り、雪国・新潟の自然に恵まれた小さな村里で酒造りを続けてきた。過去20年の間に自然災害に3度遭うが、現在もこだわりの酒造りを続けている。
「久須美酒造」のひたむきな米作りや酒造りに対する情熱は、漫画『夏子の酒』(講談社・尾瀬あきら作)のモチーフとなり、平成6年には連続テレビドラマ『夏子の酒』(フジテレビ系)が製作・放映され、日本全国及びニューヨーク、台湾でも紹介された。それまであまり日本酒に興味を持っていなかった若者や女性たちにも注目され、業界にとって大きな影響を与えたと言える。

執念で勝ち取った幻の米「亀の尾」で造り上げた美酒

日本酒の将来を案じていた久須美酒造6代目・久須美記廸さんが、越後杜氏の長老から「亀の尾で造った吟醸酒の味が忘れられない」と聞いたことから、「その米でぜひ酒を造りたい!」とロマンをふくらませ、この幻の米「亀の尾」を探しにかかり、昭和55年にようやく穂にして10本、約1,500粒のわずかな種もみを手に入れることに成功。その種もみを元に、地元農家を説き伏せて有機栽培して銘酒『亀の翁(かめのお)』を誕生させた。

酒はその土地の米と水と人情と自然が醸す風

 「酒はその土地の米と水と人情と自然が醸す風」とは「自らが作ったお米で、自らが育てた水を使い、地元の人々との和が美味しいお酒を造り出す」という酒蔵の信念。「久須美酒造」の裏山には樹齢150年を超す老杉がそびえたち、そこからは清く澄んだ湧き水が湧き出ている。「久須美酒造」のお酒は、この名水と新潟米を磨いて丁寧に仕込んでいる。
久須美酒造七代目社長・久須美賢和さんと若い蔵人で造り上げた「清泉 七代目」は、“野に咲く花のような酒を造る“という夢に向かって仕込んだお酒。やわらかな旨味と香りが優しく調和し、素直な味わいだ。久須美さんと若い蔵人たちの熱い思いが伝わってくる。
日本酒は、“お米と水との芸術“。新潟の自然と越後杜氏の高度な酒造りの技が組み合わさり、これからの新潟酒を盛り上げてくれるだろう。

ACCESS

久須美酒造株式会社
新潟県長岡市小島谷1537-2
URL http://www.kamenoo.jp/