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龍王山の伏流水を使用したお酒
東広島市の西条駅を下りて、徒歩5分。カタカナで「キレイ」と書かれた大きな煙突が目に入る。ここが、今回中田が訪れた亀齢(きれい)酒造だ。
江戸時代には「吉田屋の酒」と親しまれていたが、明治に入ってから「鶴は千年、亀は万年」の言葉にあやかり、長命と繁栄の意を込めて「亀齢」と名づけられた。
江戸時代からの井戸で汲み上げる龍王山の伏流水を仕込みに使い、その名の通り「キレイ」ですっきりとした濃醇辛口の酒。会社の入り口には「万年亀(まねき)井戸」があり、仕込み水に使われている龍王山の伏流水が出ている。
低温発酵で醸し出す辛口の酒
広島は、南に瀬戸内海、北に中国山地という立地から、地域ごとの寒暖の差が激しく、そのため同じ広島でも甘口~辛口、淡麗~濃醇まで多彩な味わいの酒がつくられている。そんな中で、亀齢の酒は「広島県内では最たる辛口」との定評があるのだ。
亀齢のこの味わいを醸し出すには、低温発酵が決め手なのだという。普通酒では15℃未満、吟醸酒になると10℃未満で醸すため、酒造りはおもに冬場におこなわれる。低温発酵は時間がかかるが、このときばかりは酒中心の生活。蔵人たちは寝起きを共にしながらひと冬を過ごすという。
生活を共にする蔵人達の強い団結心の中で、丁寧に育成されたこだわりの酒である。