34年連続最高金賞の日本酒
「モンドセレクション国際コンクール」で、22年連続最高金賞を受賞し続けている日本酒がある。それがここ田端酒造の造る「羅生門 龍寿」である。
フルーティーな香りと味わいが認められ、「羅生門 龍寿」がすべての出品酒類のなかで最高得点を記録し、日本初の最高金賞を獲得したのは1989年のこと。
モンドセレクションには、世界30カ国以上から、ウイスキーやブランデーなど種類を問わず1000種類以上が出品される。そのなかで、34年ものあいだトップに君臨し続けているというのは、並大抵のことではない。この連続受賞はもちろん世界初の快挙。現在も記録は更新中だ。ファンの多くは、今年も受賞するかどうか、毎年固唾をのんで見守っている。大量生産せず、ひとつひとつの酒にこだわりを持ち続けているからこそできることだ。
晴朗な味わい「さとこのお酒」
そしてもうひとつの注目が「さとこのお酒」。これは創業から約160年という蔵の歴史のなかで、初めて女性が造ったという酒だ。造ったのは7代目の長谷川聡子さん。酒造りという男だけの世界に飛び込み、杜氏につきながら修行を積み、ついに完成にこぎつけた一品は、丸みのある晴朗な味わい。原料はすべて和歌山産のものを使い、完全なる和歌山の地酒である。
小さな蔵元なので、このクオリティを保つにはどうしても数量に限界がある。というわけで、「さとこのお酒」は今年の製造分はすでに売りきれ。「羅生門」も、毎年わずかしか出荷できない。世界で認められる「幻の酒」、味わいたい方はお早めに。(取材/2009年)