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「玉露」が醸し出すお茶本来の美味しさとはーー八女伝統本玉露 星野製茶園・山口真也さん

「玉露」が醸し出すお茶本来の美味しさとはーー八女伝統本玉露 星野製茶園・山口真也さん

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古くからお茶の生産地として知られている福岡県八女市星野村。人口3,000人という少ない地でありながら、山間部特有の寒暖差という茶葉作りに適した環境を生かし、100年以上前からお茶を作り続けている。特に有名なのがこの地で作られる「八女伝統本玉露」。日本に15人しかいない「茶師十段」を、史上最年少の32歳で得た、星野製茶園の山口真也さんに、この「玉露」の魅力をうかがった。

玉露とはなにか

玉露は、数ある日本茶の中でも最高級品と称されている。しかし、意外なことにその理由は品種ではなく栽培方法にあるという。茶畑のまわりに棚を作り、収穫期の2〜3週間前からわらなどで作られた被覆(カブセ)をして日差しを遮ることで、茶葉のなかの旨みや香りを高めるのだ。 そんな茶の最高級品として名高い玉露の生産者のなかでも、日本茶アワードで大賞に輝くなど注目を浴びているのが、「星野製茶園」の山口真也さんだ。

史上最年少の32歳で「茶師十段」へ

正しくは茶審査技術十段。品種、茶期、産地、茶香服の4つの審査項目で茶の鑑定力を競う「審査技術競技大会」。ここで与えられる最高位の十段を取得した茶師に与えられる称号が「茶師十段」。全国に15人しか保持していないこの称号を、山口さんは史上最年少の32歳で取得したお茶作りのプロフェッショナルだ。


茶師の仕事

現在、山口さんはこの星野製茶園で商品の品質管理を行っている。まず、生産された茶葉(荒茶=茶葉を摘んですぐ蒸し、揉み、乾燥させた状態)の審査・選定を行い、より良い茶葉を厳選する。そこからお茶を仕上げる火入れを行う。火入れには、棚式熱風乾燥と直火火入れを併用しながら遠赤外線火入れも加えることで、茶葉の芯から素晴らしい味と香りを引き出しているそうだ。こうして仕上がったそれぞれ異なる特徴がある茶葉を見極めブレンドし、商品にする。これを合組(ごうくみ)といい、この茶葉の見極めとブレンドの作業こそが茶師の腕の見せ所なのだ。

100年続く伝統の製法 

玉露の栽培はあまりにも手がかかるうえに、極めて高度な技術と長年にわたる経験、栽培に適した土壌と気候が必要で、生産できる場所は限られている。そうした中でも、星野村がある八女は生産量で全国の50%以上を占め、「日本一の玉露の産地」となっている。

しかし、すごいのは生産量だけではない。それがこの地で100年続く伝統の製造方法だ。そもそも、玉露と八女伝統本玉露ではその製造方法に明確な違いがある。八女伝統本玉露と呼ぶためには7つの栽培条件があり、それらをすべて満たしたものだけが八女伝統本玉露と呼ぶことができるのだ。その条件とは、1、自然仕立ての茶園であること。2、肥培管理が十分行われた茶園であること。3、被覆(カブセ)は棚掛けの間接とし、稲わらを使った資材としていること。4、被覆(カブセ)の期間は十六日以上であること。5、摘採は手摘みであること。6、茶葉が硬化しないよう、適期に摘採していること。7、生葉管理に注意し、欠陥なく製造されたものであること。

この伝統の製造方法に山口さんは「手間ひまがかかるぶん、色、香味などすべてが他のお茶とは異なります」と話す。

八女伝統本玉露の効能と味の違い

こうして、伝統的な技法にこだわりつくられているのが八女伝統本玉露。その効能や味は、他の玉露や日本茶とは大きく異なる。特徴は、まろやかなうま味と高いコク。これは、旨味成分であるアミノ酸の一種テアニンが豊富に含まれているから。通常、日光を浴びるとテアニンは分解され、渋味・苦味成分であるカテキンへと変化する。しかし、日光をほとんど浴びずに育つ玉露はその影響を受けない。

こだわり抜かれた製法と恵まれた産地、高度な技術と長年にわたる経験を兼ね備えた生産者。この3つがそろってはじめて生まれる八女伝統本玉露は、通常の玉露よりも多くの旨味成分を含み、それでいて渋味・苦味がほとんどない、玉露本来のうまみを最大限引き出すことのできる最高級の玉露なのだ。


八女伝統本玉露の美味しい入れ方

これまでの製法でわかるように、一般的に“お茶”といわれる煎茶や日本茶とは淹れ方も違う。湯冷ましに淹れ、50度ほどに冷ましたお湯を玉露用茶碗に七分目(20ml)ほど注ぐ。小さじ約4杯分の茶葉を急須に入れ、湯冷ましした茶碗のお湯を急須に2〜3分間かけてゆっくり淹れ、お茶が浸出するのを待つ。茶葉をひたす程度だ。しかしそうやって丁寧に淹れたこの玉露は、ほんの数滴を口に含んだだけで、しっかりとした甘みと旨みが伝わってくる。濃厚で、渋みや苦みといった雑味はまったくない。

贅沢な味わいです。食事などにあわせる飲み物というより、お茶だけで、お茶の本来の美味しさを楽しむのが玉露なんですね」(中田)

革新し続けることで受け継がれる伝統

時代の変遷によるライフスタイルの多様化に伴い、お茶に対するニーズもさまざまになっている現代。星野製茶園は、日本茶の伝統を大切にしながらも、人々の生活に寄り添うさらなる茶製品の開発に日々挑戦している。

昔ながらの玉露の栽培方法を応用した抹茶の生産。玉露の茎の部分を用いたほうじ茶。など、玉露以外のお茶の生産や、茶の加工品の開発にも取り組んでいる。

お茶の可能性を追求し、変わり続ける嗜好に合わせて革新し続けることで、日本が誇るお茶の文化や本物の味を、これからも伝承していきます。」と山口さん。

日本独自の「お茶」文化を守り、さらなる追及を惜しまない星野製茶園さんの今後に目が離せない。


こちらでもご紹介しています。

ACCESS

株式会社星野製茶園
福岡県八女市星野村8136-1
URL https://www.hoshitea.com/