NIHONMONO「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン

創業明治38年の老舗ふぐ店「山田屋」

創業明治38年の老舗ふぐ店「山田屋」

大分県臼杵(うすき)市にあるふぐ料理の名店「山田屋」の創業は、明治38年(1905年)。最初に店をかまえた臼杵市浜町にはその昔、魚市場を訪れる人たちに飲食を提供する「魚ん店(うおんたな)」と呼ばれる界隈があり、そこでうどんやいなりが食べられる店として人々から愛されていた。その後日本料理を出す店として規模を広げ、昭和初期には山田屋の別荘があった場所に移転し、今の「料亭山田屋」が確立された。現在は三代目のもと東京にも2店舗を構え、西麻布店は「ミシュランガイド東京」の3ツ星を9年連続獲得するなど、日本中に「臼杵のふぐ」の名をとどろかせている。

「ふぐと言えば下関」と連想する方も多いだろう。たしかに臼杵のふぐの歴史はそう古くは無い。ここ臼杵では、ひとむかし前はふぐと言えばお祝い事の時に家で食べる贅沢なもの、だったという。豊後水道に隣接して瀬戸内海と太平洋の水塊がぶつかる潮流で身が締まり、旨みが凝縮され、身のしまった良質なふぐが水揚げさていたが、その多くは下関や東京へと出荷されるばかりで、地元で消費されることがそう多くはなかった。せっかく新鮮な状態でおいしいふぐが食べられるのに、ふぐを食べさせるお店が無い、というのはもったいないと、昭和40年頃に山田屋でもふぐ料理が提供されるようになった。もともと出荷された先でおいしいと、高い評価を受けていた臼杵のふぐ。現地で食べられるなら足を運んでみようという人が多くなり、臼杵のふぐが全国に知られるようになった。

「山田屋」のふぐ料理の特徴は、その日に水揚げされたふぐをその日のうちに調理すること。ふぐは一晩以上寝かせて締めるのが一般的で、しめた事で包丁が引きやすくなり、薄造りができるようになる。ところが新鮮な状態のフグを引こうと思うと、身が柔らかく、どうしても「厚引き」になってしまう。厚引きになってしまった事が功を奏し、ふぐのおいしさを更に引き立てる事になったそうだ。「臼杵の魅力は、何といっても新鮮なふぐが食べられることですから」(三代目女将)。

城下町の古い町並みに溶け込む建物の中には6室の個室があり、64畳の大広間は最大100名まで利用することができる。四季の移ろいを楽しめる庭園が見られる窓に沿って席が設えられていて、個室で食事をとった後、デザートは窓際に席を移して楽しむことが出来るなど、おもてなしの演出がまた食事の記憶を上質にしてくれる。「先人の教えを守りながら、いつの時代も変わらず『お客様に喜んでいただきたい』という気持ちを持ち続けることが使命です」と語る女将の心遣いが隅々まで行きわたっている。臼杵へ足を運ぶ際は、ぜひ予約して新鮮なふぐの魅力を味わってほしい。

ACCESS

山田屋 臼杵本店
大分県臼杵市港町本通り5組
TEL 0972-62-9145
URL https://www.usukifugu-yamadaya.jp