福島県の中央部、岩瀬郡天栄村(いわせぐん・てんえいむら)。米の産地として知られる場所だ。10年前、米農家の有志が集まり、天栄米栽培研究会を発足。米の味と品質の向上を目指して、特別栽培や有機栽培での米づくりに取り組んできた。米の味を競う「米・食味分析鑑定コンクール国際大会(※)」では、全国で唯一9年連続金賞受賞という記録を誇る。 |
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天栄米を名乗れる米は、収穫量のわずか2割初秋、実りの時を迎えた天栄村を、中田英寿さんが訪ねた。天栄米栽培研究会の会長、斑目義雄(まだらめ・よしお)さんの案内で、自慢の田んぼを見学させてもらう。 「米価の下落に危機感を抱いた農家が集まり、生き残りを賭けて、日本一おいしい米を作ろうと考えたのが始まりでした」 |
福島の農家代表として、2年ぶりの金賞へ一方で、その価値を広く認められるためには、第三者による評価を積み重ねる必要がある。そうした考えから研究会では、世界最大のお米のコンペティション「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」に出品を続けてきた。結果は、9年連続の金賞受賞。この記録こそ、他でもない天栄米が世界一の米と呼ばれる所以でもある。 東日本大震災の後は風評に苦しみ、農業を諦めかけた時もあった。それでも、できる限りの力を尽くそうと、ゼオライトを用いた土の除染や水の浄化に取り組んだ。努力が実を結び、秋に収穫した米は放射性物質、未検出。コンクールでは、連続金賞の記録を伸ばした。 |
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だが、10年連続金賞がかかっていた昨年は、長雨による日照不足が影響。金賞にはわずかに及ばず、特別優秀賞を受賞。 連続記録はついえてしまったが、今年は何としても10回目の金賞を手にしたい。福島県の農産物のイメージアップのためにも——。前を向く天栄村の人々を応援しようと、中田さんもアイデアを絞る。 「10個目の金賞を獲得したら、パッケージも、星を並べたデザインに変更したらどうでしょう」 コンクールの結果が出るのは11月末。運命の日は、刻一刻と近づいている。 |
ACCESS
- 天栄米栽培研究会
- 福島県天栄村