琉球ガラス職人 稲嶺誠一郎さん 「琉球ガラス工房 絆」

琉球ガラス職人
稲嶺誠一郎さん
「琉球ガラス工房 絆」

清涼感漂う泡ガラス

琉球ガラスとは、沖縄本島を中心に生産されてきた吹きガラスなどのガラス工芸品。もともとは太平洋戦争後、アメリカ軍基地に捨てられた瓶を溶かして再生したことから始まった。昔は、材料となる廃瓶に付着していたラベルやゴミが変化して泡が入ってしまった場合は失敗作とされていたのだが、現在では、逆にガラス全てに泡をちりばめ、泡自体をデザインとした泡ガラスが制作されている。ガラスの中の気泡が美しく、沖縄らしい涼しげな泡ガラスはお土産や、贈答品としても人気である。

琉球ガラス工房 絆

中田が訪れたのは、琉球ガラス職人 稲嶺誠一郎さんの工房「琉球ガラス工房 絆」。誠一郎さんの父は、気泡を生かした泡ガラスをうみ出した第一人者であり、現代の名工にも選ばれ、親子二代で泡ガラスの作品を制作している。誠一郎さんは「さらなる泡ガラス」の開発に力を注いでおり、これまでにない瓶そのものの色を活かした泡、青や緑の泡を入れる技法などを新しく生み出している。また、泡ガラスの他に珊瑚土を付着させた土紋ガラスや、アイスカットなどの技法で表現の幅を広げている。

赤々と燃える坩堝の中で

稲峰さんが、特別に制作工程を見せてくれた。赤々と燃える、1300度~1500度の坩堝(るつぼ)を前にし、その場に居るだけで熱を感じとれる。まずはガラスに息を吹き込み、形を整えていく。次に、琉球ガラスの特徴である泡部分の工程に入る。坩堝の中にとけている上層の泡部分を作品にまきつけるのである。飴細工のようにガラスがのび、色のついたガラスをさらに上から重ね、デザインしていく。均等にガラスが付着するわけではなく、毎回違う模様になるからこそ味がある作品になるそうだ。続いてガラスの口の部分をひろげる。素人ではなかなかガラスをまわすのが難しく、熱いうちに手早くまわすのが職人技。最後にガラスの底を焼いた後、徐冷八時間で完成。
「泡ガラスは表現が楽しい。自分でもまいてみないとわからない。ふたつと、同じ作品はできない。」と稲峰さんがその魅力を教えてくれた。

ACCESS

琉球ガラス工房 絆
沖縄県島尻郡与那原町与那原2463