黒麹とインディカ米からできる最高級の泡盛

創業60年の宮里酒造は琉球泡盛「春雨」などの泡盛を作っている。中でも「春雨カリー」は幻の銘酒とされ、沖縄サミットの献上酒にも選ばれている。「泡盛の最大の特徴は黒麹を使うところ」と宮里徹社長。黒麹菌はクエン酸を多く作るので、他の雑菌が繁殖しづらく沖縄の温暖な気候に合うためだ。原料となる黒麹とタイのインディカ米を見せてくれた。一歩、蒸留所に入ると米麹の香りが漂い、「よい匂い」と中田。宮里社長に後に続いて、醸造の工程を教えてもらう。
勢いよく発酵する黒麹

麹の種付けには昭和46年から使っているという大きなドラムを使う。米を蒸し上げ、黒麹菌の胞子を散布し、種付けを行う。蒸し上げたお米を48度ぐらいまで冷ましたら黒麹を散布し、ひと晩寝かせるという。次に、出来上がった米麹と水、酵母をタンクの中に一定の配合割合で混ぜて発酵させる。発酵の様子を覗いてみると、シュワシュワと勢いよく発酵していた。「発酵の勢いが清酒とは全く違う」と驚きを隠せない中田。タンクの中で約2週間寝かせたら、蒸留作業に移るそうだ。
こだわりの常圧蒸留装置で原酒ができる

出来上がった醪(もろみ)を蒸留釜に入れ加熱する。アルコールの蒸気を冷却水で冷やし、貯めたものが泡盛の原酒となる。蒸留釜は珍しい型で、先代と宮里社長で「醪の特徴を引き出すように、この型に合わせ工夫して配管、設置した」という。パイプの中に蛇管が通り、蒸留した原酒を冷やすために冷却水が流れているが、パイプの角度や冷却水の温度によっても味が変わってくるという繊細さ。泡盛の飲み方のコツをお聞きすると、「喉に落ちない程度に口に含み、呼吸して味わう」とのこと。おすすめの43度の春雨ラメを頂くと、「ゆっくりと最後にコクがでてくる」と中田も満足の様子であった。