ダイナミックな筆遣いと鮮やかな色遣い
沖縄を代表する陶芸家の山田真萬さん。国内はもとより海外でも高く評価され、数々の賞を受賞している。ダイナミックな筆遣いと鮮やかな色遣いの器たち。「基本的には伝統の色遣いだが、伝統色の藍の隣に黒を置くとモダンになる。特別にモダンなことをしなくてもモダンと伝統は表裏一体」と山田さん。中田はさっそく工房を案内してもらうことにした。沖縄の焼き物は素焼きしないことが多く、工房には“生”の器が並んでいる。一般的には素焼きをすることでひび割れや型崩れを防ぐことになる。「寒いと水分で器が割れることがあり、素焼きが必要になるが、ここは気候が暖かいため素焼きの必要がない」とその理由を話してくれた。
ろくろ挽きを学ぶ
実際に山田さんにろくろ挽きを見せてもらう。手を上に向かって土を成形する時は手のひらのくぼみを使い、下に向かって成形する時は親指の付け根あたりを使うのがコツだと教えてくれた。あっという間に土の形が変わっていき、湯のみが出来上がる。
やちむんの里のシンボルは登り窯
やちむんの里のシンボルは登り窯だ。斜面を利用して窯が数室連続する構造になったもので、下の窯から焚き出した火が上へと登り、一度に多くの器を焼ける。窯の向きは北向きと決まっていて、午前中は朝陽で乾燥させ、夕方は西陽で乾燥させる。昔からの知恵が生きている。火を着ける時は4名が交代で番をしながら、80時間は続けて焼くのだそうだ。ガスも使うことがあるが、「登り窯だと当たり前に出てくる風合いは、ガスの場合はそうなるようにコントロールしなくてはならない」と山田さんは教えてくれた。