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「傷に鎌先」といわれる名湯
昔から自然が大切に守られてきた雲仙は、野鳥や高原植物の宝庫。昭和9年には、日本で最初の国立公園に指定された。雲仙の古湯と新湯の間に、白い土に覆われた一帯があり、そこが雲仙地獄と呼ばれている。いたるところから水蒸気が吹き出し、強い硫黄の匂いが立ちこめるなか、湯煙が立ち上がる様子が地獄の景色のようで、その名がついたと言われている。
温泉の泉質は硫酸酸性の硫黄泉で、強い酸性。最高温度は98℃に達し、主成分は鉄イオン、アルミニウムイオン、硫酸イオンで、リュウマチ、糖尿病、皮膚病に効果があるとされる。また、吹き出している噴気の最高温度は120℃にもなるそうだ。
観光にうってつけの雲仙地獄めぐり
また、この一帯はキリシタン殉教の舞台にもなった場所で、地獄を見下ろす丘にはキリシタン迫害の歴史を物語る十字架が建てられている。明治初期、お糸の処刑とともに吹き出したと伝えられるお糸地獄や、100度近い熱泉と水蒸気が湧く大叫喚地獄など、約30の地獄が点在しているので、全てを巡ってみることも面白いだろう。