小山田煎餅店

三戸の伝統の味
「小山田煎餅店」

三戸の人なら誰でも知っている味

青森で煎餅といえば、すぐに思い浮かぶのが南部煎餅かもしれない。ただ青森にはほかにも古くから親しまれている三戸煎餅というものがある。見た目は南部煎餅と似ているが、食感がまるで違う。南部煎餅が比較的厚みがあり強い食感があるのに対し、三戸煎餅はサクサクっと軽い口あたりが特徴的だ。小麦の旨みがそのまま感じられる素朴な味わいの煎餅だ。軽い口当たりから離乳食として食べさせていたところもあるとか。そんな三戸煎餅をいまでも一枚一枚手焼きで焼いているのが、小山田煎餅店だ。

薄くて軽い、シンプルだけれどユニークな茶碗

「おばあちゃんの家にあっても現代的なマンションの食卓でも溶け込むものを」というのが食器作りのこだわりだ。「お茶碗は重たいのは嫌いなので、軽くて薄いものを作りたい」と西村さん。「シンプルできれい。どこでも見たことがない」と中田も優美で卓越したセンスを称えた。漆を使った茶碗は食洗機や電子レンジは不可だが、陶器の茶碗とは違って、ぶつかった時にカツカツとした音が出ない。更に漆の上に錫を蒔いて仕上げると、それは金属のような音がするのだといい、素材から発せられる「音」もまたそれぞれに特徴があって興味深い。

リズムよく焼きあがる煎餅

中田がおじゃましたときは煎餅を焼いている真っ最中だった。東京で煎餅を焼くというと、網の上で片面ずつをあぶるように焼いていくのが普通だが、三戸煎餅は小麦粉を練ったものを専用の焼き機に入れて焼く。この専用の焼き機がおもしろい。
座った目の前には焼き型が3つ。たい焼き機を想像してもらえればわかりやすいかもしれない。そして機械の右手には大きな車輪のようなものが。煎餅を焼く小山田美穂さんは、焼き型に原料を入れ蓋をしめるとその車輪をくるりと回す。すると合わせるようにして、目の前の焼き型も回る。そしてまた蓋をあけ、煎餅のもとを放り込む。そしてまたくるり。するとまた焼き型も回る。そんなふうにして、焼き型が一周したとき、最初の焼き型に乗せた煎餅は見事に焼きあがっているというわけ。そして煎餅を取り出してまた煎餅のもとを乗せる。それをリズムよく、幾度も幾度も繰り返し、一枚一枚を焼いているのだ。

ACCESS

小山田煎餅店
青森県三戸郡三戸町大字同心町字古間木平38-2