<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
	>

<channel>
	<title>山地酪農 - NIHONMONO</title>
	<atom:link href="https://nihonmono.jp/tag/%e5%b1%b1%e5%9c%b0%e9%85%aa%e8%be%b2/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>https://nihonmono.jp</link>
	<description>「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン</description>
	<lastBuildDate>Thu, 23 Apr 2026 08:47:35 +0000</lastBuildDate>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>
	hourly	</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>
	1	</sy:updateFrequency>
	<generator>https://wordpress.org/?v=6.8.5</generator>

<image>
	<url>https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2021/06/cropped-favicon-32x32.png</url>
	<title>山地酪農 - NIHONMONO</title>
	<link>https://nihonmono.jp</link>
	<width>32</width>
	<height>32</height>
</image> 
	<item>
		<title>山地放牧が照らす酪農の未来。「玉名牧場」矢野希実さん／熊本県玉名市</title>
		<link>https://nihonmono.jp/article/54314/</link>
					<comments>https://nihonmono.jp/article/54314/#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[devnakata]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 10 Apr 2026 10:25:36 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[「にほん」の「ほんもの」を巡る旅]]></category>
		<category><![CDATA[乳牛]]></category>
		<category><![CDATA[山地酪農]]></category>
		<category><![CDATA[ジャージー]]></category>
		<category><![CDATA[ルミエール]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://nihonmono.jp/?p=54314</guid>

					<description><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2315.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>茶褐色の土がむき出しになった小高い山を、牛たちが悠然と歩いている。野生を感じさせるその締まった体つきは、山地での完全放牧によるものだ。牧場主の矢野希実さんは元エンジニア。脱サラして10年かけて開拓した東京ドーム約3個分の [&#8230;]</p>
<p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/54314/">山地放牧が照らす酪農の未来。「玉名牧場」矢野希実さん／熊本県玉名市</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2315.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>茶褐色の土がむき出しになった小高い山を、牛たちが悠然と歩いている。野生を感じさせるその締まった体つきは、山地での完全放牧によるものだ。牧場主の矢野希実さんは元エンジニア。脱サラして10年かけて開拓した東京ドーム約3個分の土地で、30頭のジャージー牛を飼っている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">無一文状態で山に入り、土地を拓き、酪農を始めた</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2715.jpg" alt="" class="wp-image-54320" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2715.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2715-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2715-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>熊本県北部にある玉名市は、有明海、小岱山、菊池川と豊かな自然に恵まれ、気候も温暖。米や野菜、果物の栽培が盛んな農業のまちだ。この土地で矢野さんが新たな一歩を踏み出したのは2000年頃。</p>



<p>福岡県北九州市出身の矢野さんは、地元の製鉄所の設備などを設計するプラントエンジニアとして働いていたが、会社員として働き続ける人生にふと違和感を感じたという。幼い頃からアレルギー体質に悩まされていたこともあり、生活と食を根本から見直すようになった。その過程で農薬も肥料も使わない自然農法を実践する農家と出会い、食と農への関心は深まっていく。そして20代後半で脱サラし、自給自足と循環型農業を目指して現在の牧場がある山に入植することを決めた。</p>



<p>入植とは、未開の地に入り生活を始めることを指す。矢野さんは標高約200mにある雑木林と化した牧場跡地と出合い、ここでなら日本ならではの山地酪農の形を追究できると確信。2000年に牛と豚、犬を一頭ずつ連れて無一文状態で移住することを決めた。土地の片隅に小さな小屋を建て、木々を切り倒して間引き、荒れ果てた土地を耕し、玉名牧場を作った。</p>



<p>矢野さんが酪農を本格的に始めることができたのは、そこから7年後の2007年。牛乳の販売と並行してチーズの加工販売も始めて採算を取りながら、少しずつ理想とする牧場の形を作っていった。牧場の名は地名から取った玉名牧場。自然農法で育てた米や野菜、鶏の卵を売って生計を立てながら、現在の広さまで開拓するのに10年もの月日を要した。</p>



<h2 class="wp-block-heading">自然の摂理に沿った、力強い営みが息づく牧場</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2341.jpg" alt="" class="wp-image-54321" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2341.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2341-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2341-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>約15ヘクタールの広大な土地で暮らす乳牛は30頭。飼育する牛はジャージー種で、国内飼育の9割以上を占めるホルスタイン種に比べると、体重にして約200kgほど小さく搾乳量も少ないが、そのぶん自分の重さで膝や蹄（ヒヅメ）を痛めにくく、丘陵地での飼育に適している。</p>



<p>こうした環境適正はもちろん、ジャージー種から搾乳する牛乳は脂肪分やタンパク質が非常に高く、濃厚であるため、肝心の味でも差別化ができると考え、ジャージー牛を選んだ。</p>



<p>ちなみに、玉名牧場では一般的な酪農で用いられる穀物飼料や配合飼料は与えない。牛たちはお腹がすいたら山に自然に生える牧草を食べ、満腹になったら散歩をしたり、ウトウトとまどろんだり。</p>



<p>牧場には牛舎と呼ばれる牛を管理する小屋があるのが普通だが、玉名牧場には牛舎がなく、牛たちは年間を通して山の牧草地で自由に過ごす。当然糞尿も山でするわけだが、牧草しか食べていない牛の糞はまるで土のかたまりのようだ。水っぽさがなく、ツーンと鼻をつく悪臭もない。矢野さんがひょいと持ち上げたそれは見るからにふかふかとしていて、指の間からぽろぽろと崩れ落ちては山の土と一体となる。その様子からは、人の手を介さずとも自然に還り、この土地で循環していくことが容易に想像できる。玉名牧場のように放牧で酪農をしている牧場は全国でわずか20件ほどだという。</p>



<p>玉名牧場の牛は背骨が出て肋骨もうっすらと見えている。牛舎で管理されているホルスタインをイメージすると痩せているように感じるが、これが野生に近い姿だと矢野さんは言う。早く成長させて多くの乳を出せるように高たんぱく･高カロリーの飼料を与えることはしないので、スリムだし、一般的なジャージー牛と比べても半分以下の乳量しか採れない。だが、だからこそ健康なのだ。身体に負担がかからない食事をして、適度に運動し、よく眠り、ストレスなく暮らしているから、肥満にならないし病気にもかかりにくい。牛たちは山で自然に繁殖し、出産も人の介助を必要とせず、牛が自力で産み落とす。</p>



<p>玉名牧場には自然の摂理に沿った力強い営みが息づき、矢野さんはその循環こそ目指すべき酪農の姿であり、山地酪農こそ理想の牛乳をつくるためのベストな選択だと考えている。</p>



<h3 class="wp-block-heading">季節と風土を映す玉名牧場の乳製品</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2758.jpg" alt="" class="wp-image-54322" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2758.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2758-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2758-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>こうした環境で育った牛たちの乳は、ほのかに黄色味を帯びたクリーム色が特徴だ。市場に出回っている牛乳の乳脂肪分の平均はホルスタインが3%台、ジャージーが4％台とされるが、玉名牧場のものは5％に達する。この高い乳脂肪分が濃厚でコクのある味わいを生み出しているが、後味は驚くほどさっぱりとしている。また、気温や牧草の状態の影響を受けて季節ごとに味が微妙に変化するのも玉名牧場の牛乳の特色の一つ。日本では120〜130度で3秒間の熱処理を行う高温殺菌が主流だが、玉名牧場では65度で30分という低温で殺菌しているため、タンパク質の変性が少ない。だから生乳本来のクリアな風味や季節ごとの味の特徴がそのまま保たれ、飲み口はさらり。タンパク質や脂肪分が舌にまとわりつくような重さもなく、すっと消えるような余韻がある。</p>



<p>そんな牛乳で作る玉名牧場の看板商品であるシェーブルタイプのオリジナルチーズ「ルミエール」は、まず香りに驚かされる。牧草を想起させる爽やかでほのかに甘い香りがふわりと立っているのだ。口に含むと、濃厚なコクと旨味が舌にじんわりと広がるが、山の空気のような清々しさも感じる。熟成とともに味に奥行きが増し、とろりと溶けていくのも、ルミエールのポイントだ。矢野さんが自ら生産する牛乳の乳質に合う製法を模索して完成させたこのチーズには、牛たちが暮らす自然環境や季節の移ろいが閉じ込められている。2011年にはくまもと食品科学研究会大賞で最優秀賞を受賞した逸品だ。</p>



<h2 class="wp-block-heading">生計を立てられる持続可能な酪農を次の世代へ</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2791.jpg" alt="" class="wp-image-54323" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2791.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2791-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2026/04/IMG_2791-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>牛乳やチーズ、バターなど、玉名牧場の乳製品は一般に向けて直販されているほか、県内外の料理人やパティシエ、自然食品店からも根強い支持を得ている。だが、矢野さんは生産量を今以上に増加させるのではなく、質を保ち続けることを目標にしている。</p>



<p>山頂を開拓した牧場は斜面が多く、日陰の部分は牧草が生えにくい。加えて、近年頻発している豪雨により土が流されることもあり、牧場内だけでは牧草を確保するのが難しくなってきているのが現実だ。そこで別の圃場で牧草を栽培して不足分を賄っているものの、牧場として使える十分な土地の確保が当面の課題である。</p>



<p>また、矢野さんは次の世代の酪農家にも責任を感じている。玉名牧場のような営農方法を目指して見学や研修に来る人は後を絶たないが、資金や土地の面でつまずくケースが少なくない。農業は生産するだけでなく、生計を立ててこそ初めて持続可能となる。そのためには若手にノウハウを伝えるだけでなく、彼らが安心して挑戦できる環境を整えることが重要だと矢野さんは考えている。これらの解決のためには、消費者が食べ物を選ぶ際の基準や意識を変えることが必要だ、とも。</p>



<p>そのために玉名牧場では、消費者と生産者双方に向けて、食や、その生産環境について考えてもらうための牧場案内やイベントを積極的に実施。その成果もあってか、矢野さんの思いに共鳴する消費者や生産者、料理人、そして自治体までもが、玉名牧場の製品の魅力、取り組みの素晴らしさを自主的に発信してくれるようになってきた。こうして、矢野さんの撒いた種は少しずつ実を結び、国土面積の約7割が山地･広陵地である日本に於ける山地酪農の可能性や価値への理解が深まるなど、活動の輪は広がりつつある。</p>



<p>矢野さんの渾身のチーズの名は「ルミエール」。フランス語で光を意味するそのチーズのように、山の営みから生まれた小さな光は今、熟成の時を迎えて次の世代を照らし始めている。</p><p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/54314/">山地放牧が照らす酪農の未来。「玉名牧場」矢野希実さん／熊本県玉名市</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></content:encoded>
					
					<wfw:commentRss>https://nihonmono.jp/article/54314/feed/</wfw:commentRss>
			<slash:comments>0</slash:comments>
		
		
			</item>
		<item>
		<title>ジャージー牛を放牧し、「低温殺菌･ノンホモ」の牛乳を全国にお届け。なかほら牧場／岩手県岩泉町</title>
		<link>https://nihonmono.jp/article/53128/</link>
					<comments>https://nihonmono.jp/article/53128/#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[devnakata]]></dc:creator>
		<pubDate>Sat, 16 Aug 2025 03:19:10 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[「にほん」の「ほんもの」を巡る旅]]></category>
		<category><![CDATA[ジャージー牛]]></category>
		<category><![CDATA[乳牛]]></category>
		<category><![CDATA[山地酪農]]></category>
		<category><![CDATA[ノンホモ]]></category>
		<category><![CDATA[低温殺菌牛乳]]></category>
		<category><![CDATA[畜産]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://nihonmono.jp/?p=53128</guid>

					<description><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9033.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>北上山系の広大な山地で、ジャージー牛主体の放牧酪農をしている「なかほら牧場」。野草を食べながらのびのびと過ごす健康な牛の生乳を、自社のミルクプラントで「低温殺菌･ノンホモ」に仕上げた牛乳は、「コクはあるのに後味がすっきり [&#8230;]</p>
<p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/53128/">ジャージー牛を放牧し、「低温殺菌･ノンホモ」の牛乳を全国にお届け。なかほら牧場／岩手県岩泉町</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9033.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>北上山系の広大な山地で、ジャージー牛主体の放牧酪農をしている「なかほら牧場」。野草を食べながらのびのびと過ごす健康な牛の生乳を、自社のミルクプラントで「低温殺菌･ノンホモ」に仕上げた牛乳は、「コクはあるのに後味がすっきりしている」と県内外で評価されている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">故郷で山地酪農を目指す</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9031.jpg" alt="" class="wp-image-53129" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9031.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9031-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9031-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>岩手県の県土の約6割を占め、中央部から周辺部に向けてなだらかな勾配の山地が広がる北上山系。その標高700〜850メートルの窪地に、なかほら牧場はある。面積は、東京ドーム約25個分の、およそ120ヘクタール。ここで子牛も含め110頭の乳牛を放牧している。</p>



<p>なかほら牧場は、1984年に岩手県出身の中洞正（なかほらただし）さんが岩泉町有芸地区に入植して始めた牧場だ。中洞さんは東京農業大学在学中に、植物生態学者の猶原恭爾（なおばらきょうじ）博士が提唱した酪農スタイル「山地（やまち）酪農」を知り、衝撃を受ける。現在日本の多くの酪農家は、牛乳を大量に安価に提供するために、牛を放牧せず、牛舎につないで栄養価の高い外国産穀物飼料を食べさせている。それに対して「山地酪農」は、山に野シバを植え、草食動物である牛を放牧して草を食べさせることで、日本の国土の約7割を占める山を酪農に有効利用し緑の草地に変える、というものだった。しかも、「放牧」と聞くと平らで広い草地が必要と思いがちだが、牛は好物の草さえあれば傾斜地でも難なく歩くという。「これなら急傾斜地が多い岩手の山林でも酪農ができる」と考えた中洞さんは、卒業後に帰郷し、「北上山系総合開発事業」により売り出されていた現在の牧場を購入。この事業は県内8地区17市町村に酪農を誘致する事業で、牧場は、50ヘクタールの土地のほかにさまざまな設備や牛舎、住居なども付いた「建て売り牧場」だった。設備のなかには糞尿処理機など、牛の糞尿が放牧地の肥やしとなる山地酪農では不要なものも含まれており、多額の借金を抱えるものだったが、「故郷で放牧酪農を実践する」という夢のために決断したという。</p>



<h3 class="wp-block-heading">ジャージー牛を選んだ理由</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9035.jpg" alt="" class="wp-image-53130" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9035.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9035-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9035-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>入植した中洞さんは、まず木を伐採して、牛たちが逃げないように牧場の周囲に柵を打ち、11頭の乳牛を放牧した。牛たちは歩き回って下草や木の葉などを食べるので、食べ尽くされて土壌がむき出しになる。そこに日が当たり牛たちの糞尿が肥料となって、やがて野シバなど在来の野草が生えるように。この作業を少しずつ繰り返すことで野草が生えた放牧地を拡大し、乳牛の頭数を増やしていった。ちなみに猶原博士は、牛が十分に食べられる量且つ、過食により野草が消滅しないちょうどいいバランスとして、「放牧地1ヘクタールあたりの牛の頭数を成牛に換算して1.5頭まで」としており、なかほら牧場でも、それに準じた規模で放牧を行っている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">生乳本来の風味を生かしたい</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9051.jpg" alt="" class="wp-image-53131" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9051.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9051-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9051-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>なかほら牧場の牛たちは、通年昼夜問わず放牧されている。牛舎に入るのは、一日2回の搾乳時のみ。搾乳時には、国産のビートかすと大豆かす、小麦を混ぜた「おやつ」が与えられるが、それ以外は、春から秋までは放牧地内のノシバや野草を、放牧地が雪で覆われる冬は、自社採草地の無農薬牧草を発酵させた「サイレージ」や国産の干し草を食べながら、広大な放牧地でのびのびと過ごす。交配も出産も自然のまま。出産後も2か月までは母乳哺育なので、母牛･子牛ともにストレスがかからない。心身ともに健康そのものだ。</p>



<h3 class="wp-block-heading">「63℃で30分間」の低温殺菌</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9057.jpg" alt="" class="wp-image-53132" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9057.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9057-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9057-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>なかほら牧場ではそんな健康な牛たちの生乳を、自社のミルクプラントで牛乳に加工し、販売している。中洞さんは入植してから7年間は生乳を農協に出荷していたのだが、1987年に生乳の取引基準が「脂肪分（生乳に含まれる脂肪分の割合）3.5％以上」に変更になり、基準に満たない生乳の買取価格が半額程度となった。なかほら牧場の生乳は放牧で運動量が多いため、乳脂肪分が高くなかったが、水分量の多い青草を食べる春から秋にかけては乳脂肪分がさらに低くなる。そのため中洞さんは「この基準では経営が成り立たない」と危機感を感じ、自分のブランドを立ち上げることを決意。銀行から融資を受けてミルクプラントを建設し、牛乳の製造を始めた。ちなみに同牧場ではその後、ジャージー牛の比率を増やして生乳の脂肪分を高め、現在は夏が3.6〜3.8％、冬は4.3〜4.5％である。</p>



<p>同牧場の牛乳は、コクがあるのに後味がすっきりしている点が特徴だ。それをつくりだしているのが、「63度Cで30分間」の低温殺菌をしていること。「殺菌温度や時間によって、タンパク質が変化して生乳本来の味ではなくなる。そこで試行錯誤してたどり着いたのが、法律上ギリギリの『63度Cで30分間』だったんです」と説明するのは、中洞さんに代わり2021年から牧場長を務める牧原亨さんだ。牧原さんによると、日にちが経つと牛乳に「熟成した風味」が加わるそうで、顧客の中には購入した当日と1週間後の味の変化を楽しむ人もいるという。</p>



<h3 class="wp-block-heading">瓶の上部の「生クリーム」も楽しんで</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9061.jpg" alt="" class="wp-image-53133" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9061.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9061-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9061-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>もうひとつ、なかほら牧場の牛乳の特徴が、ノンホモジナイズ牛乳（ノンホモ牛乳）であることだ。「ホモジナイズ」とは牛乳に含まれている脂肪球を小さくつぶす工程のこと。大手乳業の大量流通品は120℃2秒などの高温殺菌工程における焦げつきを避けるため、殺菌の前にその脂肪球をつぶしておく必要があるのだ。しかし一方で、脂肪球を砕くため生乳本来の風味が失われるというデメリットがあることから、なかほら牧場では「生乳に近い味を楽しんでもらいたい」と「ノンホモ」を選択しているという。「うちの牛乳の味が濃厚といわれるのはそれもあるのです。また、日にちが経つと脂肪分が瓶の上部に浮いてきますが、これは生クリームですのでそのまま食べてもおいしいですし、パンにのせて食べるというお客様もいらっしゃいます」と牧原さんは胸を張る。</p>



<h2 class="wp-block-heading">次世代に引き継げる「安定経営」を目標に</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9059.jpg" alt="" class="wp-image-53134" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9059.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9059-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9059-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>現在なかほら牧場のミルクプラントでは、牛乳のほかにアイスクリームやヨーグルト、バター、プリンなどの加工品も製造している。販売先は岩手県を越え、関東や関西、四国、九州まで拡大してきたが、それでも経営は厳しい。</p>



<h3 class="wp-block-heading">商品の価値を理解してもらうことが重要</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9060.jpg" alt="" class="wp-image-53135" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9060.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9060-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/08/hy9060-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>牧原さんの実家は、隣りの田野畑村で600頭の牛を牛舎で飼育する酪農家だったが、その後廃業となり、牧原さんは13年前になかほら牧場にやってきた。そして「こういうやり方で牛を飼いたい」と感じるようになったという。「でも、現在のように年一億円以上の赤字経営ではダメ。家族で食べていくことができて、次世代の若者に引き継げるような経営体にしないと」と明言する。</p>



<p>経営を安定させるために牧原さんは、消費者に商品の価値を理解してもらい売り上げを増やすことが必要だと考えている。「例えば、うちの牛乳の瓶の上部に浮いてくるのが脂肪分だと知らないお客様もいます。うちの牛乳の値段は一般的なものの5倍以上ですから、その理由、つまり放牧酪農でエサは草主体で、低温殺菌でノンホモである、ということを理解してもらわないと買ってもらえない。逆に理解してもらえば、購入につながるはずです」と牧原さん。若いスタッフや研修生とともに知恵を出し合い、「牛のため、山のため、乳製品を飼ってくれる生活者の健康のため」をモットーに、牧場の発展を目指す。</p><p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/53128/">ジャージー牛を放牧し、「低温殺菌･ノンホモ」の牛乳を全国にお届け。なかほら牧場／岩手県岩泉町</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></content:encoded>
					
					<wfw:commentRss>https://nihonmono.jp/article/53128/feed/</wfw:commentRss>
			<slash:comments>0</slash:comments>
		
		
			</item>
		<item>
		<title>傾斜地の自然を活かした放牧酪農で、牛も人も幸せになる牛乳づくり。田野畑山地酪農牛乳／岩手県田野畑村</title>
		<link>https://nihonmono.jp/article/52549/</link>
					<comments>https://nihonmono.jp/article/52549/#respond</comments>
		
		<dc:creator><![CDATA[devnakata]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 17 Mar 2025 11:05:17 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[「にほん」の「ほんもの」を巡る旅]]></category>
		<category><![CDATA[山地酪農]]></category>
		<category><![CDATA[ARTISAN CHEESE AWARDS]]></category>
		<category><![CDATA[milk port NAO]]></category>
		<category><![CDATA[畜産]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://nihonmono.jp/?p=52549</guid>

					<description><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9024.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>「山地酪農」とは、乳牛を一年中牧山（まきやま）に放牧し、ニホンシバなどの野草主体で育てる酪農スタイルのこと。植物生態学者の猶原恭爾（なおばらきょうじ）博士が提唱したこの酪農法に取り組んできたのが、田野畑山地酪農牛乳の会長 [&#8230;]</p>
<p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/52549/">傾斜地の自然を活かした放牧酪農で、牛も人も幸せになる牛乳づくり。田野畑山地酪農牛乳／岩手県田野畑村</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><img src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9024.jpg" class="webfeedsFeaturedVisual" /></p><p>「山地酪農」とは、乳牛を一年中牧山（まきやま）に放牧し、ニホンシバなどの野草主体で育てる酪農スタイルのこと。植物生態学者の猶原恭爾（なおばらきょうじ）博士が提唱したこの酪農法に取り組んできたのが、田野畑山地酪農牛乳の会長・吉塚公雄さんだ。その牛乳は「季節の味が楽しめる」とファンに愛され続けている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">牛にも人にも自然にも良い、持続可能な酪農法</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9021.jpg" alt="" class="wp-image-52550" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9021.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9021-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9021-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>日本の国土の約7割を占める山地。そこを開拓して牛の好物であるニホンシバを植え、乳量の多いホルスタイン種を放牧すれば、外国産の飼料に依存せずに、その生命力を活かした「牛乳」を安定的に生産することができる。これが、「草の神様」と呼ばれた植物生態学者・猶原恭爾博士が提唱した「山地酪農」だ。草食動物である牛は、草を求めて傾斜地の牧山を歩き回り、ニホンシバなどの野草を食べ、ミネラル豊富な沢の水を飲み、健康的に育つ。交配も出産も自然のまま。また、その糞尿は肥料となって、ニホンシバや他の在来の野草を永続的に育てる。そのため酪農家は、飼料代や肥料代をかけずに栄養価の高い牛乳の生産が可能に。たい肥化も含め糞尿処理代もかからない。さらにニホンシバは密生度が高いので、豪雨のときでも表土の流出を防ぎ、山を守るという。つまり山地酪農は、牛も人も幸せになり自然も豊かになる、持続可能な酪農法なのである。</p>



<h2 class="wp-block-heading">山地酪農の素晴らしさを伝えたい</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9014.jpg" alt="" class="wp-image-52551" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9014.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9014-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9014-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>岩手県の北東部に位置し、総面積の80％以上を森林が占める田野畑村。吉塚公雄さんはここで50年近く前から山地酪農を実践している。起伏に富んだ18ヘクタールの吉塚農場では、18頭の搾乳牛と10頭の育成牛（子牛など搾乳できない牛）を一年中放牧。牛たちは春から秋にかけて農場の無農薬・無化学肥料の野草を食べ、青草のない冬は、自家採草地の、やはり無農薬・無化学肥料の乾牧草を与えられる。穀物飼料は一切食べない。</p>



<p>「野草は在来のもの、牧草は家畜用に改良されたもので、異なる草です。うちの農場の野草の5割はニホンシバで、残り5割が春のシロツメクサや夏のヤハズソウなど49種類。また牛たちは、暑い夏には水をたっぷり飲むし、冬はその逆。ですからうちの牛乳を買ってくださっているお客様は、『旨みが清らかで雑味がなく、季節ごとの味の違いが楽しめる』とおっしゃいます」と吉塚さんは胸を張る。</p>



<h3 class="wp-block-heading">10年間の「ランプ生活」</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9015.jpg" alt="" class="wp-image-52552" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9015.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9015-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9015-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>吉塚さんは千葉県市川市のサラリーマンの家庭で育ったが、小学生の頃、毎年夏に宿泊していた農家でホルスタインの飼育の様子を見て酪農に憧れ、東京農業大学に進学。そこで猶原博士が提唱する「山地酪農」と出合い、感銘を受ける。そしてこれを実践し日本中に広めようと、卒業後、田野畑村ですでに山地酪農を実践していた大学の先輩・熊谷隆幸さんのもとで1年間実習。1977年に村内で10ヘクタールの山地を手に入れ、入植した。</p>



<p>ところがその地域は電気が通っておらず、最初の10年間はランプ生活。そんななかで、木を伐採し、ニホンシバを植え、牧柵と有刺鉄線で囲ってホルスタインを放牧して草地化を進める、という作業を、栄養失調になって奥さんの登志子さんを迎え入れるまで5年間続けた。電気が通ったのは1987年。吉塚さんは、この10年間が一番つらかった、と振り返る。</p>



<h3 class="wp-block-heading">プライベートブランドの立ち上げを実現</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9026.jpg" alt="" class="wp-image-52553" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9026.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9026-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9026-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>経済的な苦しさも長く味わった。というのも、ニホンシバが大地に定着して安定するまで10年以上かかる。また山地酪農では、「放牧地１ヘクタールあたりの牛の頭数は成牛に換算して1.5頭まで」と決まっているので、頭数を増やして多くの牛乳を生産・販売するためには放牧地をつくり続けないといけない。つまりその間の収入はないのだ。さらに、少しずつホルスタインの頭数を増やし、ようやく乳量を確保しても、穀物飼料を与えていない吉塚さんの牛の生乳は農協が設定した乳脂肪分の基準値に合わず、出荷できないこともあった。たとえ出荷できても、それまでの借り入れなどで相殺されると手元に現金はほとんど残らなかった。</p>



<p>そこで、同じく農協に出荷していた熊谷さんと相談し、プライベートブランドを立ち上げて直販することを決意する。製造は村の産業開発公社に委託。吉塚さんと熊谷さんの牛は、穀物飼料を与えられた牛に比べて乳量が少ないため、一般的な牛乳よりも高い値付けになってしまったのだが、地元のテレビ局が農場の様子などを放送してくれたおかげで、1996年の発売直後からその価値を理解してくれるお客がついたという。その当時のお客が現在まで買い続けてくれているそうで、そこに口コミで新規のお客が加わるので、ファンは増える一方だ。</p>



<h2 class="wp-block-heading">「山地酪農家を増やすこと」を親子で夢見て</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9020.jpg" alt="" class="wp-image-52554" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9020.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9020-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9020-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>プライベートブランドを立ち上げて以来、吉塚さんは農場主として、販売会社である田野畑山地酪農牛乳株式会社の社長として二束のわらじを履いてきたが、2022年、農場の代表を長男の公太郎さんに、会社の社長を四男の雄志さんに譲った。それぞれの専任者ができたことにより、農場の運営も会社の経営も改善されている。</p>



<h3 class="wp-block-heading">牛乳の味を活かした乳製品づくり</h3>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9028.jpg" alt="" class="wp-image-52555" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9028.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9028-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9028-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>しかも雄志さんは2017年から、自社の乳製品工房「milk port NAO」でヨーグルトと2種のチーズ、バターを作っている。ヨーグルトは乳酸菌だけを使って低温で長時間発酵させたもので、酸味が少なく、後味にほんのりコクが感じられる点が特徴だ。また、自社製生クリームも使ったチーズ「白仙」は、作りたてと熟成状態のそれぞれのおいしさを楽しめるもの。昨年「ARTISAN CHEESE AWARDS」のソフト部門で1位相当の「SUPER GOLD賞」を受賞するなど、国内外のさまざまな大会で評価されている。「牛乳よりも日持ちが良い乳製品は流通にのせやすいので、これらの売り上げを伸ばして会社の経営を少しでも安定させたい」と雄志さんは決意をにじませる。</p>



<h2 class="wp-block-heading">50年間、あきらめずに続けてきた理由</h2>



<figure class="wp-block-image size-full"><img decoding="async" width="825" height="550" src="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9018.jpg" alt="" class="wp-image-52556" srcset="https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9018.jpg 825w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9018-300x200.jpg 300w, https://nihonmono.jp/wp-content/uploads/2025/03/hy9018-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 825px) 100vw, 825px" /></figure>



<p>このように役割は異なる3人だが、目指すところは同じだ。それは、日本中に山地酪農家を増やすことである。国土の狭い日本では、乳牛を牛舎につなぎとめて飼育し、防カビ剤などのリスクはあるものの国産よりも安い輸入飼料を与える酪農が一般的。限られた土地で効率的に作業ができ、乳脂肪分が高い生乳がとれるからだ。「でも、日本には放置されたままの山地がたくさんあります。そこで山地酪農をやれば、最初の開拓はつらくても、やがて牛も人も幸せになって千年続けて支障のない農家『千年家』になり、地域の経済が成り立つ。ちなみに日本のホルスタインの平均寿命は5〜6才ですが、うちでは今までも最高齢が16才、熊谷さんの牧場では18才なんですよ。そしてなんといっても山地が美しい緑の放牧地に生まれ変わる。山地酪農は、日本の自然の究極の活用法。これを日本中に広めたいから、これまで開拓がつらくても経済的に苦しくてもあきらめずに続けてきたんです」と吉塚さん。そして、この夢をかなえるために、農場を30ヘクタールまで拡大して牛の頭数を増やし、経済的に安定した「モデル農家」になりたいと話す。公太郎さんも同様に農場の規模拡大を目標にしているが、それは「息子に『跡を継ぎたい』と思ってもらえるように」という後継者育成のためでもある。一方の雄志さんは、研修生の受け入れに意欲を燃やす。円安による飼料代や燃料代の高騰、子牛の販売価格の下落などにより、経営に苦しむ酪農家が増えているいま、3人の夢は、日本の酪農の夢でもあるかもしれない。</p><p>The post <a href="https://nihonmono.jp/article/52549/">傾斜地の自然を活かした放牧酪農で、牛も人も幸せになる牛乳づくり。田野畑山地酪農牛乳／岩手県田野畑村</a> first appeared on <a href="https://nihonmono.jp">NIHONMONO</a>.</p>]]></content:encoded>
					
					<wfw:commentRss>https://nihonmono.jp/article/52549/feed/</wfw:commentRss>
			<slash:comments>0</slash:comments>
		
		
			</item>
	</channel>
</rss>
