健康で安全な食文化を育成する米作りの匠 遠藤農園 遠藤五一さん

健康で安全な食文化を育成する米作りの匠 遠藤農園 遠藤五一さん

BUY この生産者の商品を見る

有機JAS規格以前から行っていた有機農業

米の生産量が全国で上位にも入る山形県。そんな山形県の南東に位置する高畠町は「まほろばの里」と呼ばれている。「まほろば」とは日本の古い言葉で「丘や山に囲まれた稔り豊かな住みよいところ」という意味だそうだ。そんな自然豊かなこの町に「遠藤農園」はある。この遠藤農園の遠藤五一さんは日本でも指折りのおいしい米を作る匠として全国でも有名である。その証拠として「全国 米・食味分析鑑定コンクール」で4年連続で最高位の金賞を受賞し、2007年にはダイヤモンド褒章を受賞している。ダイアモンド褒賞とは、4回連続の金賞受賞者で、3回連続の総合部門金賞を果たした生産者に贈られるもの。いわば殿堂入りとでもいうべき栄えある賞だ。このような賞を受賞している背景には、28年前から行っている有機農法がある。遠藤さんは「口から入った食べ物は、全部自分の血となり肉となる。だから何よりも気をつかうべき」という。今となってはJAS規格という安全な食品を証明するマークがあるが、それができるより前から遠藤さんは食の安全性に目を向けていた。


命を支える産業としての農業

現代人にとって食事が命を支えているという意識は低いかもしれないが、砂糖や油を多くとってしまうことで、人の体温の低下や免疫力が弱くなるといったことを招いているという。「健康なくして幸福はありえない。だから自分たちの仕事を“農業”という言葉でいうのではなく、“命の産業”と言いたいんです」そう遠藤さんは農業の問題意識を熱く語った。ただし、遠藤さんはサステナブルな産業としての農業ということも考えてお米作りをしている。当日、紙マルチというものを説明してくれた。紙マルチとは、主に雑草が生えないように活性炭入りの黒い紙で地面に敷いて使うものだ。農薬や除草剤とは違い、天然のものなので田んぼの微生物によって分解される。それを田んぼに敷きながら田植えをしていく。除草剤を使うよりももちろん手間やコストはかかってしまう。紙マルチのコスト、紙マルチでの田植えをする機械のコストを考え合わせると、通常の値段では売ることができない。だから販路も通常のものではなく、消費者個人と話をして納得してもらって買ってもらっているという。このようにただ良いものを短期的に作るのではなく、持続可能性まで考えて農業というものを発展させようとしている。そんなSDGsの視点も持ち合わせながら遠藤さんは農業に取り組んでいる。


おいしい米を全国へ広げたい

遠藤さんのお家のリビングには卵や梅干など、ずらりとお米に合う食材が並んでいた。そう、お待ちかねの試食の時間だ。湯気が立っているご飯をお椀に盛って差し出してくれた。

まず目が行ったのはその白さ。当日はつや姫を炊いて出してくれたのだが、「つや姫は普通の米よりも白度が高いんですよ」と遠藤さんが言うように、目の前のご飯たしかに“きれい”だった。

また遠藤さんは「小学生に『好きな食べ物は?』っていうアンケートをとっても、日本食が出てこない。やっと10番目に『回転寿司』っていうのが挙がるぐらい」と話していた。それを聞いて「僕はもし死ぬ前に食べたいものは何って聞かれたら、お米って答えますよ」と中田が言うと、がらりと顔を変えて「それはうれしいな。麺も美味しいけど、わたしはご飯を食べないと夕方までお腹がもたないんですよ」と笑っていた。

人の健康を支える食文化を考え続けてきた米作りの匠の根底にあるのは、食に対する愛情なのかもしれない。そんな愛情をもってこれからも日本全国においしい米を届けてくれることだろう。

ACCESS

遠藤農園 遠藤五一
山形県東置賜郡高畠町