NIHONMONO「にほん」の「ほんもの」を巡る旅マガジン

お酢の名醸地尾道で400年以上の歴史を持つ尾道造酢

お酢の名醸地尾道で400年以上の歴史を持つ尾道造酢

地元に密着した昭和の町並み尾道の商店街。アーケードを少し抜けたところに尾道造酢の社屋がある。足を踏み入れるとさわやかに酢が香る。だが、鼻をツンとつくような刺激はない。甘みを含んだ、ふくよかな香りだ。

「尾道での酢づくりは、1500年代に始まったといわれています。堺で酢造りをしていた職人が、この地でつくりはじめたそうです。現在は2社を残すのみですが、明治期には10社が酢をつくっていて、全国的にも有名な産地だったんです」(尾道造酢 取締役工場長 丸尾仁人さん)

ふくよかな香りの理由は、昔ながらのつくり。ここでは日本酒蔵から酒粕を仕入れ、それを3年寝かせじゅうぶんに熟成したところで酢の材料に。まずは水で溶き、そこに種酢を加えて酢酸発酵させると酢が出来上がる。工場内には、細長い発酵槽があり、そこを酢酸菌の膜を張った酢がゆっくりと流れることでまろやかなお酢が出来上がる。

現在の人気商品は、調味酢や薄めて飲むフルーツビネガーなど。「実は、昔作ったものがそのまま残っているんですよ」と丸尾さんに案内されたのは、社内の秘密の“蔵”。そこには昭和30年代につくられた酢が甕に入れられたまま保存されている。熟成した60年ものの酢を味わってみると、高級なバルサミコ酢のように芳醇で上品な甘みとほんのりとした酸味で、えぐみはまったくない。ゴクゴク飲むわけにはいかないが、かき氷などにかけたら間違いなく絶品だろう。これぞ400年以上の歴史がつくりあげた味。長年、この蔵で働いてきた酢酸菌の力を感じる味わいだった。

ACCESS

尾道造酢株式会社
広島県尾道市久保1丁目5番2号
URL https://www.onomichi-su.co.jp/