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宇治茶の老舗「放香堂」で合組に挑戦

宇治茶の老舗「放香堂」で合組に挑戦

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神戸元町通りのにぎやかな商店街を歩いていると、ふいに香ばしい、いい香りがただよってくる。ふと見ると、そこにあるのは隣り合った2つの「放香堂」という店舗。右は日本茶の専門店「放香堂」、左は「放香堂珈琲」。ここはまさに日本の喫茶文化の源流ともいえる店なのだ。
「もともとは今から約180年前の天保年間から山城国(現在の京都)で宇治茶を栽培し、全国に卸売をしていたそうです。神戸が開港した1867年からは日本茶を輸出するようになり、その日本茶を積んでいった船で帰りにインドから輸入していたのがコーヒーでした。 1878年に日本で初めて店頭でコーヒーを飲ませた店と言われており、そのことは教科書にも載っているんです」

放香堂の歴史を受け継ぐ、酢田恭行さんは“茶師十段”とも呼ばれる茶の審査技術において最高位の「茶審査技術十段」を取得している。その繊細な舌、鼻、喉で神戸の喫茶文化の一翼を担っている。茶師の仕事というと、一般には馴染みがないかもしれないが、簡単に説明すると茶のブレンドを行う専門家だ。全国の産地から届く茶葉の特長を見極め、それぞれを配合することで理想の味を実現する。この「合組」といわれる作業が、わたしたちが口にする茶の味、香りを左右するのだ。
この日は中田も合組に挑戦。中田が掲げたのは、「食事にあう最高級の玄米茶」。実は玄米茶やほうじ茶といった茶は、二番茶、三番茶など、等級の劣る茶葉がつかわれることが多い。それをあえて中田は、高級な茶葉や抹茶をぜいたくにブレンドすることで、飲み味がすっきりしつつ、香りも楽しむことができる茶を目指したのだ。「私たちにはない発想ですね」と、酢田十段も興味津々でその様子を見守る。

「抹茶を入れると色がきれいになるんですね」、「もう少し玄米を足して香ばしさを出したいかな」。4種類、5種類と茶葉を加えることで味に深みが増す。それぞれの茶葉の特長を十段に聞きながら、ブレンドの作業をすすめる中田。
「いつかは自分でも“利き茶”ができるようになりたいんですよ」
この日できあがったのは、鮮やかなグリーンの玄米茶。コクが強すぎないので飲みやすく、かといって香りも失われてはいない。
「玄米茶というと日常で楽しむ安いお茶という考え方しかありませんでした。中田さんのアイデアをもとに、私も今までにない新しいお茶(玄米茶)を考えてみたいと思います」
中田のアイデアが神戸の老舗で商品化される日も遠くないかもしれない。

ACCESS

株式会社 放香堂
兵庫県神戸市中央区元町通3丁目10番6号
URL https://www.hokodo.co.jp/