津軽民謡手踊り

心の唄、津軽民謡を伝える
石川流2代目石川久美子さん

津軽民謡にかかせない手踊り

吉田兄弟の活躍もあって、津軽の芸能で「津軽○○」というと、すぐに津軽三味線という言葉が浮かぶかもしれない。現在では津軽三味線というと独奏などのイメージもあるかもしれないが、多くは唄の伴奏として演奏されることが多かった。津軽じょんがら節などの津軽民謡で育ってきた芸能だ。
 津軽民謡の特徴は、唄と三味線が織り成す民謡に手踊りといわれる踊りも加わること。津軽三味線をご存知の方はおわかりだろうが、テンポが早い曲が多いため、踊りもゆったりとしたものよりキビキビとした踊りが特徴的だ。

キビキビとした気持ちのいい踊り

津軽民謡のうち、津軽じょんがら節、津軽おはら節、津軽よされ節、津軽あいや節、津軽三下りを津軽五大民謡という。その五大民謡に加えて、それぞれの流派によってオリジナルの民謡があるのだそうだ。そのいくつかある流派のうち津軽民謡石川流の稽古場におじゃまさせていただいた。今回は特別に三味線の奏者の方にも来ていただき、生演奏のもと津軽民謡手踊りを見せていただいた。
 津軽三味線の軽快でテンポの早い音。唄い手さんの華やかな歌声に合わせ、ピシッピシッと踊り手が踊る。舞うというよりも、キビキビとした動きで魅せる踊りだ。思わずその世界に吸い込まれ、最後の動作がピシッと終わったときに、ハッと我にかえる。中田の手からは自然と拍手が起こっていた。

男踊りに挑戦

当日の参加者を見回してみると、そのほとんどが女性。「男性の踊り手さんはいないんですか?」と中田が聞くと、あまり多くはないがいるという。石川流2代目の久美子先生は「男性の踊りというのは女性とはまた違った特別なよさがあるんです」という。その後、男踊りというものも見せていただいた。しぐさ、特に足の見せ方が男性的な踊りだ。「中田さんもやればできますよ」と先生は中田に傘を手渡され、ご指導をいただく。体の動きだけでなく、指先の細かなところまで気をつけなくては、あのキビキビとしたかっこよさは表現できない。中田も四苦八苦しながら、何とか最後の決めポーズまでたどり着いた。
 民謡というのは、その地方で歌い継がれるいわば心の唄。石川流では後進の育成はもちろん、子どもたちにも手踊りを教え、その心を未来へつないでいる。

ACCESS

青森県青森市原別3-8-1青森市東部市民センター2F和室
URL 津軽民謡手踊り